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美術館や博物館の展示、映画などいいなあと思ったことについて綴っていきます。

「徳川美術館展 尾張徳川家の至宝」感想 (後編) 蘭奢待とモノキュラー

・本ページはプロモーションが含まれています。

 

 

 

こんにちはコヨコヨリです。

 

今回は「徳川美術館展 尾張徳川家の至宝」の感想の後編です。

 

 

 

 

第2章 清雅 ―茶・能・香―

 

この章では尾張徳川家でたしなまれた茶道、能、香道に関わる所蔵品が展示されていました。

 

 

茶器などは刀同様に来歴がキャプションに記されていて、名古屋の徳川美術館を訪れた

時に、尾張徳川家が所蔵品の由緒を纏めたリストのような分厚い書物があったなと思い

出しながら観ていました。

 

 

 その中でも「油滴天目(星健盞)」という天目茶碗が、艶のある黒釉の中に油滴の

ような斑紋が浮かぶ茶碗で、茶碗の内側の斑紋がより油滴が垂れた形で鉱物的な青さが

際立つ美しさがあり、「星」と例えるのも納得です。

 

 能のコーナーでは般若などの能面、能衣装、狂言衣装などが展示されていて、能衣装に使われる帯の繊細な刺繍や、能で使う冠を観ることができました。

 

 

そして香のコーナーでは、あの「蘭奢待」が。

 

 以前展覧会の紹介しました今年東大寺所蔵の本体から切り分けられた蘭奢待が、都内

美術館で公開されるとお伝えしたうちの一つがサントリー美術館のこの展示です。

 

 

詳しくは下記のブログを読んで頂けると幸いです。

 

museumpiece52625.hatenablog.com

 

香のコーナーは6つの香木の展示から始まるのですが、その一つに東大寺蘭奢待から

切り分けられて伝わってきた「手鑑香 銘 蘭奢待」が。

 

銀の香合と金紙と銀紙の包み紙と一緒に展示されていました。

 

蘭奢待自体の大きさは小指の爪位で非常に薄く小さかったです。

 

 

 キャプションに記載された来歴は古く、この蘭奢待源頼政(源平期の武将)→太田

道灌(室町期の江戸城を最初最初に築城した武将)→東福門院和子(徳川秀忠の娘)他

が所有してきたとありました。

 

東大寺蘭奢待には室町以降の武将の名が残されていたので、それ以前から武士に対し

て切り分けられていたということにちょっと驚き。

 

それを知った上で、他で展示が決まっている蘭奢待はどういった経緯で伝わってきたの

でしょう・・ちょっと感慨深くなりました・・。

 

他に香木の他、香合や香炉なども展示され、その中でも、香道で使用する道具が初めて

見るものが多く、その上豪華な設えなのでただただ感嘆するのみでした。

 

 

第3章 求美

 

 この章では、尾張徳川家の奥方や姫君が所有していた贅や美を凝らした身の回りの物を中心に展示されていました。

 

 

水色の麻地の振袖の帷子、蒔絵の化粧道具、徳川家の家紋が細かに散らされた金盃など

細工を凝らした艶やかな品々が並ぶ中、感嘆したのが楽器の筝。

 

銘は「青海波」。

 

側面に銘の由来の「青海波」の文様、両端と足にはや螺鈿象牙で装飾されていて、べ

っ甲などの高級素材で仕上げられた美しく贅沢な一品。

金工細工もモノキュラーでミリ以下単位の装飾が確認出来るくらい細やかで、どれだけ

の手間をかけて作られたと思うと・・。

 

衣装の美、化粧の美、食器や文字など求める美は割と想像できるけれど、楽器まで美に

こだわった名品が、徳川家には集まるのだなと、御三家とは言え徳川家の規模の大きさ

を感じましたね。

 

 

特別公開 国宝 源氏物語絵巻

 

展示期間中4回の展示替えがあり、私が行ったときは、源氏物語絵巻の「宿木(二)」の巻の展示でした。

 

「宿木(二)」は新婚4日目の光源氏の孫匂宮と、夕霧の娘六の君との昼間の逢瀬の場

面。

 

匂宮が六の君の美しさに惹かれているところが描かれているのですが、絵巻自体が小さ

めの上に、ケース越しだと距離があり、わかりずらく、モノキュラー(単眼鏡)で拡大

して見ることで匂宮の優し気な表情が見ることができました。

 

 

 

 

特別公開 国宝 初音の調度

 

今回、国宝にしてされている徳川三代将軍家光の長女千代姫の婚礼調度品を特別公開と

いうことで、私が行った時には「胡蝶蒔絵将棋盤・駒箱」という恐らく日本一豪華な将

棋盤が展示されていました。

 

将棋盤の側面の蒔絵は雅楽の風景だったり山水だったりやまと絵の風景が描かれていて

その緻密さに注目して、盤面の将棋の駒に目がいきませんでした。

 

 

 

 

 

 

ひととおり展示を観て感じたのが、恐ろしい位の展示品の状態の良さ。

数百年前の物とは思えず、まず経年劣化を感じさせないです。

 

それは尾張徳川家に仕えている人々が丁寧に管理してきたからなのだと思うのですが、

戦中・戦後も人の手で細やかに手入れをし続ければ、よい状態で後世に残せる。

そんなことを展示から感じ取ったのですが、それは私たちの生活でも言えることで、大

切にしたい物はちゃんと気にかけ、メンテナンスをしていけば永く私たちの傍にあるの

だなと思いました。

 

 

 最後に・・今回の展示は本当にモノキュラー(単眼鏡)大活躍で、細かい細工や、茶

器の色合い、打掛の刺繍、刀の波紋、様々な物をみて発見、感動することが多かったです。

裸眼で見る限界を補ってくれて本当に重宝しました。

 

あと、モノキュラーで観るのも観ている方に迷惑にならないように心掛けなければいけ

ないなということも実感しました。

 

 

 

前後編と長くなりましたが、お付き合いいただきありがとうございました。

 

 

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