あまりにも早すぎる、早熟な天才。
もっと作品を見たかった。
そんな印象をこの展示を観て感じました。
現在東京都美術館で開催中の「エゴン・シーレ展」は、30年ぶりの大規模展ということで120点近くの作品が展示され観ることが出来ます。
私はエゴン・シーレ自体は昔美術の授業で名前を聞いていた程度の認知でしたが、雑誌で特集記事を見てあの個性のある抽象的とも写実的ともつかない独特の絵を直に見てみたいと思って、観に行く決心をしました。
東京都美術館に行くと、行ったのは平日でしたが結構な人がいて、最初の方はならびながら進んでいく感じでした。
エゴン・シーレは19世紀末のオーストリアに誕生した画家ですが、15~16才の若さで
美術アカデミーに進学し後グスタフ・クリムトに弟子入りし、絵画に大きな影響を受けます。
今回の展示ではシーレが影響を受けたクリム トや、クリムトをはじめとしたウィーンの芸術家が立ち上げた「ウィーン分離派」についての展示が多数あり、エゴン・シーレを取り巻く近代ウィーン絵画がわかる流れになっています。
一連の「ウィーン分離派」の展示の後、やっとというかエゴン・シーレの作品の展示が始まり、自画像や女性像、風景画、裸体などテーマと時系列にそった展示が続きました。
初期の迷いのないデッサン力の素描から、個性的な厚く塗られた独特なタッチ、そして写実へ。
自画像や内面を強く表した人物画や風景画など、表現の変化がわかりやすく展示されていたのが印象的です。
美術アカデミーの16歳から亡くなる28歳まで、絵画は生きていたらその後が楽しみな段階で終わっています。エゴンシーレが晩年生きていた時代、スペイン風邪が流行していました。シーレは妻が罹患したのち自分も罹り3日後に亡くなります。
そんな最期も今の私たちに考えさせられるものがあります。
限りある生への燃焼…そんなことをこの展示から感じ取れました。
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